錦鯉は多くの人にとって、高価で敷居が高いものであるという印象があるかと思います。しかし、錦鯉の楽しみ方は人それぞれですし、価格も安いものから高いものまで様々です。
品評会にて高い評価を得ることを目指すという楽しみ方もありますが、本来の楽しみ方は、錦鯉本来の美しさを鑑賞し、その成長を楽しむことだと思います。 自分の池の環境と鯉を持つ目的を正しく把握して、自分に適した鯉を選ぶことが大切です。
ここでは、錦鯉の歴史について簡単に触れつつ、一般的に良いとされる錦鯉の見方と、育て方を説明します。今後の錦鯉ライフの参考にして頂ければと思います。
錦鯉の見方
錦鯉は、日本で誕生したもので、古くから日本の芸術・文化の1つとして親しまれてきました。日本の芸術は、素朴な自然との身近な関係の中で生まれ、育て上げられました。また、日本の美的感覚は、表面の美だけではなく、内面的な美も追及する面があります。錦鯉はそんな日本の芸術による美意識に強く影響されています。
優秀な鯉の見分け方は、実際には簡単に身に付けることは難しいですが、一言で言うと、良い鯉とは美しさが長持ちする鯉です。
では、どのような鯉が美しさが長持ちするのでしょうか?
まず、注目すべきは地肌の質です。例えば、木綿の着物に対して、絹と同じ染料を使って染めても、絹の着物のようなツヤは出ません。きめの細かさが違うからです。きめ細かい肌を持った鯉は、体が成長したした後も、緋にムラができません。肌の色は白ければ良いというわけではなく、体全体にニスを塗ったような光沢があることが大切です。
小さいうちから赤い硬い紅には注意が必要です。体を伸ばしていくにつれて紅が散ってしまうことがあります。2~3歳くらいの鯉を選ぶ場合は、必ずしも緋盤の色はまだ赤くなくても良いので、必ず光沢があり、紅に粘りのある鯉を選ぶことが大切です。ペンキの塗り方で言うと必ず2度も3度も塗りこんだような、強弱のなく、生乾きのようなこってりとした紅が良い紅です。
品評会では、これに加えて体のサイズや模様の芸など、様々な点から総合的に評価が行われます。
錦鯉は奥が深いです。だからこそ魅了されるのです。実際に優れた鯉を数多く見て、自分の目を鍛えることが重要です。そうすることで、錦鯉に対してまた新たな価値を見出すことが出来るようになるのではないかと思います。
錦鯉の育て方
鯉には1年のサイクルがあります。春は産卵、夏は成長、秋は冬眠の準備、冬は冬眠。鯉は日本の四季に順応しながら、1年を過ごします。
鯉が餌を食べる時は普段の3倍~4倍くらいの酸素を消費すると言われています。池にエアレーションが十分にないと、消化不良を起こし、場合によっては命を落としてしまうことがあります。
日当たりの良い池、小さな池の場合、夏場は水温が上がりすぎないような注意が必要です。鯉の健康状態に一番良い水温は24℃~25℃です。冷温動物の鯉はこの温度が新陳代謝を活発にする温度だからです。水温が30℃近くになると、鯉の餌食いが悪くなります。